僕のプロレス・ノート 第一回 猪木の生きざま、猪木の死にざま

僕のプロレス・ノート
第1回 猪木の生きざま、猪木の死にざま

 まだ、生きてます、猪木さん。

 霊界で活躍されているレスラーの魂を憑依させ、リングに呼び出して、試合するという、その名も恐山イタコが、ハッスルで使っていたネタ。
 場内が暗転し、稲妻がとどろくと、イタコの動きがスローモーになり、チョップ、ビック・ブーツ、そして、ジャンピング・ネックブリーカー!
 場内は、馬場コール一色!
 さらに、場内が暗転し、再び、稲光が!
 急に、動きが俊敏になったイタコ、対戦相手に、ジャンピング・ニー!そして、ジャンボ・ラリアット!
 コーナーに立ち、おー!おー!おー!と、鶴田を呼び出す。
 そして、三度、稲光!
 次はだれだ!
 イタコが、鋭いナックルアローの連発!
 延髄斬り!卍固め!
 そして、1、2、3、ダァアアア!
 その瞬間、対戦相手の金村キンタロー選手の鋭い突込みが!
「まて、まて、猪木さん、生きとるやないかい!」

 長い前振りでした。

 小学4年生から、猪木ファンをやっている僕ですが、その魅力に魅了され尽くされ、先日、講演を頼まれた経営者セミナーで、『猪木語録に学ぶビジネスシーン』という演題で、約40分、猪木の魅力について、話しまくるという暴挙に出てしまいました。
 反省はしていますが、後悔はしていません(猪木語録)。
 
ある意味、猪木のいい時も悪い時も、見続けてこれたのではないでしょうか。
 それだけ猪木が好きなら、どの試合が好きなの?と、よく聞かれますが、『多すぎて選べない』と言うのが、本音です。

 大物を相手にした試合が、名勝負ぞろいなのは言うまでもありませんが、対キラー・ブルックス戦や対ケビン・ケリー戦、マッドマックス1号戦であっても、猪木の試合は、何かしらメッセージが込められているのです(妄想)。

 そんな猪木の名勝負の中で、お勧めの一戦が、これ。

1996年 1月4日
INOKI FINAL COUNT DOWN 5th
アントニオ猪木 vs ビッグバン・ベイダー

 この一戦こそが、猪木の最後の名勝負。
 猪木に用意された引退ロードは、今までのノスたルジィ色の漂う懐古的試合が多かった。
 異種格闘技トーナメントでのジェラルド・ゴルドー戦といったイレギュラーな試合もあったが、北朝鮮で行われた『平和の祭典』でのリック・フレアー戦が、ピークとなり、それ以降は、猪木の昔を思い起こさせるようなカードが軒並み連なっていた。
 しかし、このベイダー戦だけは別だ。
 新日本を離脱した後、WCW、UWFインターと、団体を渡り歩き、全ての団体で、タイトルを強奪し、圧倒的な強さを誇り続けてきた。
 この試合が実現したときは、今度は、猪木やばいんじゃないか?と、不安になったものだ。
 ベイダーは、そのパワー中心のファイト・スタイルと気の荒さから、過激なブルファイトで、必要以上に相手を痛めつけてしまうことがあるよう注意人物という面も持っている。
 
 もし、猪木との試合というおいしいシチュエーションで、力任せのファイトを強引に展開しないとも限らない。
 この一戦で、猪木のファイナル・カウントダウンが、終わってしまうかもしれなかったのだ。

 そういった不安要素を抱えたまま、試合当日を迎えたわけだが。
 その時の田中リングアナの選手入場が心に残った。

『スーパーからビッグバンへ』
 この口上は、まさかのベイダー、新日本里帰り、定着を意味するのでは?と、一人でワクテカしていたものだった(その後、速攻で、WWE、全日、ノア、WJと団体を渡り歩いたのは、内緒だ…)

この項、続く

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