僕のプロレス・ノート 第1回 猪木の生きざま、猪木の死にざま (後編)

僕のプロレス・ノート
第1回 猪木の生きざま、猪木の死にざま (後編)

 と、言うわけで、続くのでありました。

 この試合をした時の猪木の年齢は、なんと53歳!
 今なら、リキプロとかドラディション、マスターズあたりに出ていてもおかしくない年齢です。
 そんな猪木が、現役バリバリ、全盛期と言っても過言でないくらいのベイダーを相手にして、とにかく技を受けまくるわけですよ。
 ユー・チューブで、『猪木 ベイダー ドーム』で、検索すると、衝撃の映像が出てきます。

 こらえる猪木のバックを取ったベイダーが、すさまじい角度で投げっぱなすジャーマン!
 猪木の首が90度に折れ曲がり、キャンパスの上で激しくバウンドします。
 試合は、なおも続き、超高角度チョーク・スラム!
 あまりの衝撃に、猪木の膝が己の額に直撃!
 なんと、額が切れて、大流血するハプニング!
 ベイダー・ボム、『ガンバッテー!ガンバッテー!』と叫びながら繰り出されるベイダー・ハンマー!
 もう半失神の猪木に、なおも、猛攻を繰り広げるベイダーは、最大級の大技、ムーンサルト・プレスで圧殺!
 誰もが、カウント3を許したかと思ったが、ギリギリのところで、キックアウトした猪木。
 朦朧とする猪木は、大逆転の腕ひしぎ十字固めで、ベイダーからタップアウトを奪い取りました!
 1996年1月4日のドーム大会、全10試合中、セミでもなければメインでもない第七試合にラインナップされて猪木対ベイダー戦。

 そのあとの試合に、健介を破って以来、人気急上昇の垣原が長州に挑んだ因縁の新日本対UWFインターとの対抗戦、橋本対山崎の壮絶なケンカ試合、そして、高田のリベンジなるか、武藤とのIWGPタイトル戦と、豪華なラインナップが続きました。
 しかし、これだけの好試合の中、最もインパクトを残したのは、だれでしょうか?

 まぎれもなく猪木ですよ!

 リング外から、現役の選手に向けて、辛口の評価ばかりを発信するのが、当時の猪木のスタンスでした。
当然、武藤をはじめとする新日本のトップレスラーの方々にしてみれば、面白いわけもなく。
『猪木さんの試合なんか、俺たちが平気で越えて見せますよ!』
 そういわんばかりの試合順。
 ところが、いざ、ふたを開けてみたら、このドームで、一番の歓声を浴びたのは…。
 
 かつて、武藤を血だるまにした猪木。
 中邑真輔も、わけもなく、フルボッコにされました。
『戦いがないんだよ、今の新日本には』
 それが、口癖で、大きい大会のカードが決まるたびに、権力を振るってきた猪木ですよ。 そんな彼が、周りを黙らせるだけの圧倒的な試合を見せつけたわけです。

 いまでも、たまに、ふっと見たくなるので、手元においておくようにしていますが、プロレスの神髄を見せていただいた、と、誰に見せても、驚かれる猪木の名勝負です。

 プロレスの凄みは、豪快な技だけはなく、それを受け切り、観客の視線を独占できるくらいの受けの素晴らしさなのですよ、と、その生きざまから学んだ次第でございます。

 新日本から離れ、独自のルートで我が世を謳歌している猪木ですが、今度はどんな話題を振りまいてくれるのか、その死にざまを見届けようと思います。




この記事へのコメント

  • 信天翁

    以前、「猪木の試合は9割受けて最後に1割攻めて勝つ」とおっしゃっていましたが、まさにそれですね。

    猪木の死…今はまだ想像もできませんね。

    そして壮絶な死闘の中で強烈なインパクトを残す「ガンバッテー!」
    2018年05月05日 01:00