第13回 爆弾小僧、ダイナマイト・キッドの思い出 其の参

【前回までのあらすじ】
僕らの爆弾小僧、ダイナマイト・キッドは、オチャメなイタズラが大好きだ!

【続き】
全日本プロレスに移籍した後、しばらくの間、WWFとの掛け持ち参戦が続いたような気がします。
でも、その期間はそれほどでもなく、気がつくと、WWFと日本マット界の冷えきっていきました。
キッド&スミスしかり、マスクド・スーパースターしかり、アドリアン・アドニスしかり、有名どころのレスラーは、次々とWWFに、引き抜かれ、契約でがんじがらめにされ、日本マットへの参戦が無くなっていったのです。
新日本も全日本も、独自ルートで外人レスラーを確保すべく、発掘にいそしみましたが、発掘したさきから、横取りされるという負のスパイラル。
ビガロを返せ!
コンガ・ザ・バーバリアンを返せ!
バイオレンス・ウォーロードを返せ!
カート・ヘニングを返せ!
テッド・デビアスを返せ!
ディンゴ・ウォリアーは、差し上げます!

そんな現状の中、『動いている』キッド&スミスを確認できたのは、レンタルショップにおいてあったWWFのビデオだけでした。
レッスルマニア2とサバイバーシリーズに参戦しているキッド&スミスは、ブリティッシュ・ブルドックスとチームらしいネーミングとチームらしいお揃いのコスチュームに、身を包み、それっぽくなっていました。
余談ですが、ブルドックスのコスチュームのユニオンジャックを見たとき、青森県民だったら、かなりの確率でイギリストーストを思い出すはず。
ローカルネタで、すみません。

それ以上に、目を引いたのは、盛り上がった筋肉❗
肩、背中、腕!
アミバに、秘孔突かれたんじゃないか、と、思わせるくらい、膨れ上がっていたんです。
自伝を読むと、馬用のステロイドを使っていた、とか。
人間離れしています…。
ファイトスタイルは、いつものキッドでしたが、それゆえ、無理してるんだろうな、という印象が有りましたね。
フィニッシュは、スミスがリフトアップしたキッドを、ダイビングヘッドの要領で叩きつけるという荒業。
レッスルマニア2では、もろに頭同士がかち合い、勝利を奪ったキッドが痙攣してのたうち回る、という悲惨な映像も…。

WWFでのサーキットに疲れはてたキッドは、再び、全日本プロレスを主戦場にします。
WWFのタッグチャンピオン、ブリティッシュ・ブルドックスのファイトが、日本で見られる!
筋肉の固まりとなったキッド&スミス、向かうところ敵無しでした。
鶴田&天龍とも、互角でしたから、継続参戦が楽しみでした。

しかし、来日を重ねる毎に、キッドの体は次第に『萎んで』いきます。
ポジションもだんだん下がっていきました。
それでも、キッドはキッドでした。
マレンコ・ブラザーズ、カンナム・エキスプレス、ファンタスティックス、小橋&菊地、タッグで、数々の名勝負を残しました。
https://youtu.be/w2wHzHaAnpg
https://youtu.be/OJHnqPJUJtw
シングルでも、ハンセンを相手に、全力勝負。
パートナーも、ディビーボーイ・スミスから、ジョニー・スミスに代わり、最強タッグでの番付も下がり始めた頃、その時は突然来たのです。

https://youtu.be/YGA5-vThdaE

91年最強タッグ最終戦。
ダイナマイト・キッド&ジョニー・スミス対ジョニー・エース&サニー・ビーチ。
優勝争いから外れた両チームの公式戦。
単なる消化試合がはじまるか、と、思ったその瞬間でした。

『この試合がダイナマイト・キッド選手の引退試合となります』

悲鳴にも似た歓声が上がった後、万雷のキッド・コール!
いつも通り、無愛想にコールにこたえ、いつも通り、ハードな打撃、鋭いブレーンバスター、いつも通り、ダイビングヘッドバットを決めて、いつも通り、カウント3を奪い取ったキッド。
この時点で、首にボルトが三本埋まっていて、衝撃に耐えられる体ではなかった…。
『オレは、テリー・ファンクじゃない』
そういって、キッドはリングを降りました。

その後、93年にカムバック。
賛否両論は有るでしょうが、そこにキッドがいてくれる。
それだけで、満足でした。
あぁ、プロレスが出来るくらい回復したんだな、良かったな、という気持ちしか有りませんでした。
96年のみちのくプロレスへの参戦時も同じ。
そこに、キッドがいてくれた。
それだけで、充分でした。

キッドの技で一番好きな技は、ヘッドバットです。
相手の髪を鷲掴みにして、力一杯何発も何発も打ち込んでいく。
身長差があってもお構い無し。
一発打つ度に、体に衝撃が走り、首のボルトは増えていく。
しかし、観客には、そんなことは悟らせない。
ひたすら、ひたすら、ただひたすら、ヘッドバットを打ち続ける。
観客のためだったのか、自分のためだったのか、それはキッドしかわからない。
でも、そんなキッドだから、ファンは一生懸命応援したんです。
命を削って、ファイトしていたキッドの姿に、惚れ込んだんです。

半身不随になっても、誰を攻めることもない。
『自分で選んだことの結果だから、受け入れてる』
なんたる潔さ。

僕に出来ることは、ダイナマイト・キッドという不世出なレスラーがいたことを、語り継いでいくことだけ。
それが、僕に出来る細やかな恩返し。
爆弾小僧、ダイナマイト・キッド、貴方の残したものが、後の世まで受け継がれますよう、そして、貴方の魂が、永遠に安息の地で休まれますよう、お祈りします。
安らかに、お休みください。



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